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犬と猫のシニア期。体と生活スタイルで変わること

こんにちは。Con tuttiの桐村です。

 

私たちが行っているサービスの1つに、老犬・老猫さんの訪問介護・カウンセリングがあります。

イベントや初めてお会いした方にこういったサービスを行っていることをお話しすると、

「犬や猫にも介護!?時代だね~」

とびっくりされることも。

 

しかし、わんちゃんやねこちゃんを取り巻く「シニア期」の環境は、最近では少しずつ周知されてきたものの、まだまだ一緒に暮らしている動物が若齢で関りが薄い飼い主さんや、シニアだけど元気いっぱい!という飼い主さんにとっては、なかなかイメージがつきづらいものでもあるでしょう。

 

そこで、今回はわんちゃん・ねこちゃんのシニア期に起こる体の変化や、ライフスタイルの変化についてお話しします。

 

―今日の目次―

1.犬と猫のシニア期に体に起こる変化

2.愛犬・愛猫でシニア期の変化をチェックしてみよう

3.愛犬・愛猫の体の変化にどうやって対応する?

4.老犬・老猫の介助・介護ってどんなもの?

 

犬と猫のシニア期に体に起こる変化

シニア期(老齢期)は、どんなわんちゃん・ねこちゃんでもやがて必ず訪れる時間です。

 

私たち人も、わんちゃんやねこちゃんも、体は毎日酸化して、少しずつ老化していきます。

酸化するということは、ちょっぴり嫌な言い方をすると、体がさびていくという意味にも言い換えられます。

 

赤ちゃんの頃は水分をたっぷり保持してぷくぷく・つやつやだったお肌も、徐々に水分を保持する機能が衰えたり、たるみやしわへと繋がっていきますよね。

これも1つの老化現象(酸化が原因の症状)の1つでもあります。

 

呼吸をするだけでも体は酸化し、活性酸素やフリーラジカルという物質を排出して、体を少しずつ衰えさせていきます。

 

本来体の中には抗酸化機能が備わっていて、活性酸素やフリーラジカルを問題のない範囲で抑え込む機能も備わっています。

ところが老齢期に近づくにつれて、この抗酸化機能が減少し、酸化ストレスが増してしまうことで、活性酸素やフリーラジカルの増加をうまく抑えられなくなってしまうのです。

 

これが老化を促進したり、病気の原因にもなることが研究結果で示されています。

 

老犬・老猫期に突入!?体の変化をチェックしてみよう

体が老化していくと、「あれ?何だか今までと違うなあ」と思う変化が体に現れます。

毎日一緒に暮らしていると気づきにくいこともありますが、以下のポイントに当てはまるものがないか、愛犬・愛猫をぜひチェックしてみてください!

 

□ 前よりお尻周りが痩せたような気がする

□ 以前より太りやすいor痩せやすい

□ 毛にツヤがなくなった

□ トイレの失敗が増えた

□ 睡眠時間が長くなった、眠る時間帯が変化した

□ 歩くことや段差を避けたがる

□ 呼んでもあまり反応しない、無関心な態度が増えた

□ ごはんを食べるスピードがゆっくりになった、食べ方がぎこちない

□ 飲水量が増えたor減った

□ 白い毛が増えた、被毛の色が薄くなった気がする

□ 目が白く見える

□ 物にぶつかるようになった

□ 立つ・座るの動作が遅い

 

いかがですか?

 

老犬・老猫期の筋肉の衰えは、下半身からやってきます。

特にお尻周りの筋肉量が落ちるため、上から見た時にお尻が小さくなったように見えたり、前方にどんどん体重をかけるようになって首が下がった姿勢を続けることも。

 

また、人の認知症にも似た認知機能不全症候群では、

● 睡眠時間の増加、昼夜逆転

● 夜鳴き

● 学習したこと・自分がしている行動を忘れる

● 旋回(円を描くように歩く)・徘徊行動

などが徐々に現れるようになります。

 

性格が変わったように見えたり、見た目が変わったように見える体の変化は、病気を伴って引き起こされることも多いものです。

外からはわからなくても、体の中では各臓器を構成する細胞も老化しています。

 

「うちの子はとても元気だし…」

と思っていても、以前との違いはぜひチェックしておきたいものですね。

 

愛犬・愛猫の体の変化にどうやって対応する?

こういったシニア期の変化がお家のわんちゃん・ねこちゃんに訪れた時には、毎日の暮らしの中でストレスを抱え続けることがないように、少しずつ体に合わせた暮らし方をさせてあげたいところです。

 

代表的なもので言えば、

〇 足腰の弱り・筋肉量の減少

〇 食事が食べにくい・おいしさを感じにくい

〇 いつもの生活スペースで過ごしにくい

といったことになります。

 

こういったことを改善し、愛犬・愛猫が暮らしやすくするための工夫を取り入れてみましょう!

 

【行動のサポート】

 

歩き方がぎこちなくなって、行きたいところに行けないストレスを抱え、運動することを一度に長時間楽しめない愛犬・愛猫には、スムーズな移動ができるよう手伝ってあげましょう。

 

足腰が弱っている子にとって、体のバランスを保つために踏ん張ったり、段差を乗り越える動作を行うことは難しいもの。

 

そこで、

● 床材を滑りにくい素材に変更する

● 段差が大きいペット用品を段差の少ないものに変える(トイレ、ベッドなど)

● 歩行介助グッズを活用する

● 部屋の中で愛犬がつまづきやすいものをなくす

● 滑りを予防する靴下をはかせる(ねこちゃんは難しい)

といった方法を活用してみてください。

 

特に、長い時間を過ごす室内を整えることは、愛犬・愛猫にとって大きなポイントです。

たった2~3㎝の段差であっても、足腰が弱った子にとっては後ろ足を持ち上げて上る・乗り越えることは辛く、時間がかかることも多いものです。

 

この段差がトイレやベッドにあると、排泄が間に合わず失敗したり、普段寝る場所を変更したりと、飼い主さんにとって「あれ?どうしたんだろう?」と思うことが増えてきます。

特にトイレ問題は、わんちゃんやねこちゃんも失敗したくてしているわけではないので、飼い主さんから怒られてもなぜかわからず、不安や恐怖のストレスに陥ってしまいます。

 

段差のないトイレマット:HARIO「ワンコトイレマット」

 

そして、外で排泄するわんちゃんであれば、最近さまざまな歩行介助ハーネス・車いす・靴下などが販売されているので、体に合った方法を使うのも、お互いの負担を減らして楽にする手段です。

 

ただし、なかなか体のサイズに合うものがない!というケースも少なくないので、Con tuttiでは100円均一に売っているトートバッグを使って歩行介助ハーネスを手作りする方法もお伝えしています。

知りたい方はお気軽にご相談ください。

 

お散歩や運動を、1回につき今までと同じ時間行うことが辛い場合は、10~15分の短時間を複数回に分けて行ってあげてくださいね。

 

【食事のサポート】

 

ごはんの食べにくさは、足腰の弱りからくるものもあれば、歯周病の進行によってくるものもあります。

 

足腰が弱って踏ん張れない・すべってしまう場合、器が低い位置にあると、四肢を使って体のバランスを取りながら首を下げて食べるという姿勢が取りづらくなります。

また、年齢を重ねて歯石が蓄積すると、歯周病が進行して歯がぐらついたり、歯茎が腫れたりして、痛みや違和感を発生させます。

 

● 食べている途中にごはんをこぼす

● 途中でごはんを食べるのを止める

● 食べるのに時間がかかる

といった時には要注意です。

 

この場合、食器があるスペースの前にはすべり止めマットを敷き、器の高さを数㎝あげてみるだけでも食べやすさは改善されます。

視覚が衰えて食器の位置がわかりづらい場合でも、食器スペースの前に敷いたマットにより、足裏に普通の床とは違う感触が伝わり、「ごはんの場所にたどりついた」という目印にすることができます。

 

歯周病の場合は、まずは動物病院での歯石除去を含む歯科処置を行い、お家での口腔ケアを行うことで歯周炎の進行をゆるやかにしてあげましょう。

歯科処置を行うことで、歯茎の腫れや口の中の違和感・痛みを改善することにもつながります。

 

そして、嗅覚や味覚の衰えによって、ごはんの風味を感じにくくなっている場合には、

● ごはんを温める

● 食感を変える(ふやかし、ドライフードの種類変更、トッピング)

● 大好きな飼い主さんの手からあげて喜びをアップ

なども検討しましょう。

 

お茶を入れるパックにかつおぶしなどを詰めたものをドライフードの袋の中に入れておくと、普段のごはんとは違う匂いを感じて食欲が増すねこちゃんもいますよ。

 

老犬・老猫の介護ってどんなもの?

足腰の弱りの程度が増したり、寝たきりや認知症によって介護度が増してくる可能性は、忘れずに考えておきたい生活の変化です。

 

この時に必要になる介護は、人の介護とも似通っている部分もあります。

今回はどんな介護が必要になるのかを、簡単にご紹介しましょう。

 

【床ずれの予防】

 

自分で姿勢の変更ができない子の場合、ずっと同じ姿勢でいることで一部分にだけ体重がかかり、床ずれができてしまうことがあります。

 

それを防ぐために、

● 体位変換(寝返りをうたせる)

● 床ずれ予防マットの使用

● 姿勢の維持ができるようなリハビリテーション

● マッサージによる血流改善・むくみの除去

といった予防策が必要です。

 

マッサージは気持ちいいのでコミュニケ―ションタイムとして今からでもおすすめです★

 

【食事の介護】

 

自分で食べる気は満々でも、うまく口の中にごはんを運べなかったり、器に口を突っ込んでしまってごはんを押し固めてしまう子がいます。

その場合は、ぎこちない舌や口の動きでも食べることができるよう、食事のあげ方にさらなる一工夫が必要です。

 

また、飲みこむ力が弱いのであれば、誤嚥を防ぐために食事の性状にも変化をつけてあげなければいけません。

 

● とろみをつける

● 器の形状を変えてごはんを拾い上げやすくする

● スプーン・シリンジ・スポイトを使って、口の中にごはんを運んであげる

● 誤嚥を防ぐための食事姿勢を取れるよう飼い主さんが支えてあげる

 

これらはわんちゃん・ねこちゃんの食べ方や姿勢によって必要になる工夫が変わるため、Con tuttiではひとりひとりに合わせたアドバイスをお送りしています。

 

【トイレの介護】

 

自分ひとりではなかなか排泄姿勢が取れないという子の場合、

● 排泄時に転倒しないよう、支えながら排泄させる

● トイレの失敗を減らすために、トイレに連れて行く回数を増やす

● 寝たきりで排泄した後に、汚れを溜めないよう清潔にする

といった点を重視してあげる必要があります。

 

特に、尿や便で体が汚れたままになってしまうと、皮膚炎や尿路感染症の元になってしまいます。

 

【認知症の介護】

 

脳の認知機能は加齢によって徐々に増してくるものですが、夜鳴きや徘徊といった認知症独特の介護に対しては、飼い主さんの生活スタイルを激変させてしまうものもあるため注意が必要です。

 

飼い主さんの睡眠時間が確保できない、愛犬から目を離せないといった「つきっきり介護」が発生しやすい原因の1つであり、飼い主さんの疲労度も桁違いになりがちです。

ねこちゃんよりも、わんちゃんの飼い主さんに圧倒的に多い介護になるでしょう。

 

「愛犬の気持ちがわからなくて、自分も怒りたくないのに怒ってしまう…」

「飼い主なのだから、私が頑張らなくてはいけないんだ」

と、体力的だけでなく、精神的に思い詰める頑張り屋な飼い主さんが多くなるのが特徴です。

 

この時の介護では、介護者自身がほどよく気分転換しながら、良い意味での手抜き介護を行えるようにすることが大切です。

症状の進行度に合わせて、Con tuttiスタッフが訪問介護によってお手伝いしますので、疲れ切ってしまう前にゆっくり愛犬と向き合う時間を確保していきましょう。