今回は私、こいぬこねこ教育スタッフの車谷が、こいぬを飼われた飼い主様、わんちゃんとの暮らしをご検討されている飼い主様に、心身ともに健康に暮らすための【こころのワクチン】について知っていただきたいと思います。
初めてわんちゃんを飼われる方はもちろん、久ぶりに子犬を迎い入れられる方もぜひ御覧ください。
ー今回の流れー
1. こいぬが心身ともに健康に暮らすために
2. 飼い主さんとわんちゃんに守ってほしい3つのルール
3. しつけ・教育のために知っておきたい人と犬の違い
4. 教育は【こころのワクチン】
子犬が心身ともに健康に暮らすために

みなさんは日頃、健康に暮らすために何か取り組んでいることはありますか?
健康管理と言われて、一番に思い浮かぶのは食事や運動ではないでしょうか。他にも病気を予防するためにワクチンを打ったり、定期的に健康診断を受けたりなど色々されていると思います。
わんちゃんにも食事や運動、病気を予防するワクチン接種や予防薬の投与、定期的な健康診断など、動物病院での指導にあわせて実施してあげてください。
さて、今あげた健康管理は主に体の健康を保つためのものですが、心の方はどうでしょうか?
近年では、人の社会でも心の病についてクローズアップされることも増えてきました。
心の病のひとつに、学校や職場といった環境に馴染めないなどがありますが、そういったストレスは人だけではありません。
犬本来の社会とはまったく価値観の違う人間社会で暮らす家庭犬も、ごく自然な犬としての行動が人間に受け入れてもらえず行動を制限されることがあるなど、ストレスを感じているはずです。
この価値観の違いや犬本来の行動について理解し、対策してあげることがわんちゃんの心の健康に、そして心身ともに健康に暮らすことへと繋がっていきます。
そして、こういった対策やそれに基づいた教育を【こころのワクチン】と呼びます。
飼い主さんとわんちゃんに守ってほしい3つのルール

【こころのワクチン】に繋がる、飼い主さんもわんちゃんも心身ともに健康に暮らしていくために守っていただきたい、3つのルールについてお話していきます。
① 飼い主さんがわんちゃんとの生活を楽しんでいること
② わんちゃんが幸せであること
③ わんちゃんを飼うことで周囲の人に迷惑をかけないこと
① 飼い主さんがわんちゃんとの生活を楽しんでいること
今からわんちゃんとの新生活を迎えられるみなさんは、楽しみなことがいっぱいではないでしょうか。
そんな楽しい暮らしを続けいくためには、わんちゃんとの関係性が不可欠です。
わんちゃんといい関係性を築いていきましょう。
② わんちゃんが幸せであること
わんちゃんの幸せとはなんでしょうか?私がここでお伝えしたい幸せの定義は、次の3つです。
● 犬本来のニーズが満たされていること
● 健康であるか病気を持っていたとしても適切な治療が行われていること
● 飼い主さんや一緒に暮らす動物とよい関係性が築かれていること
ニーズとは、わんちゃんに必要な飲食物や行動です。自然界であれば、飲食物は自分自身で調達しますし、行動についてもお腹がすけば食べ物を探して動く、寝たいときに寝る、トイレも自分の都合のいいところでするでしょう。
しかし、人と暮らすわんちゃんには食べ物を自力で調達することはできませんし、寝起きの時間やトイレなども人の影響を受けることでしょう。
だからこそ、わんちゃんのニーズを理解してニーズに合ったものを提供してあげなければいけません。
また、健康管理も飼い主さんがしてあげないといけないことです。そして、人は学校や会社など家族以外のコミュニティを持つこともありますが、家庭犬の多くは飼い主さんと同居動物との関係だけになるので、その関係性も大切にしてあげましょう。
③ わんちゃんを飼うことで周囲の人に迷惑をかけないこと
ざっくりいえばしつけ・教育ですが、ルール①と②をふまえると、飼い主さんとの関係性を壊すようなしつけも、わんちゃんのニーズを考慮せず人間の都合を押しつけるだけのしつけも、心の健康を保つためには望ましくありません。
わんちゃんのニーズを考慮したしつけ・教育のために必要な、人と犬との価値観の違いを確認していきましょう。
しつけ・教育のために知っておきたい人と犬の違い

人と犬とは違います。なにを当然のことをとお思いかもしれませんが、本当の意味で理解できていますか?
● 人は個室トイレを好みますが、犬は閉鎖的なトイレは好みません
● 犬は食器を用いた食事はしません
● 犬は穴ぐらのような寝床を好みますが、人はカプセルホテルのような狭いベッドより、広くゆったりしたベッドを好む方の方が多い
このように、生活様式、価値観がまったく違うことを理解して、対策・教育していく必要があるのです。
では、生活様式や価値観の違いが教育にどうように影響するのか、その教育をなぜ【こころのワクチン】と呼ぶのでしょうか。
教育は【こころのワクチン】

生活様式や価値観の違いと教育がもたらす影響を人間社会に例えてみましょう。
日本生まれ、日本育ちでほとんど海外旅行もしたことない方が、何の心構えもなく急に海外に行き、現地の方の生活様式でしか行動してはいけませんと言われたらどうでしょうか?
行き先の国や地域によってはすごく大変なことになりますし、きっとその場合大きなストレスを強いられることになるでしょう。
しかし、日本人にはストレスフルな環境でも、その国、地域で暮らしている方からすれば、当たり前の健全な環境ということも往々にしてあります。
それはその環境に生まれ育ち、その環境に合わせた生活が身につくように幼いころから教育されているからです。
お箸やフォーク・ナイフでの食事がマナーとされる国も、手で食べることの方が「最も清浄な行為」される国も、幼いころからの教育が【こころのワクチン】となって健全な生活を守ってくれているのです。
これはわんちゃんも同じです。順応性の高い子犬の時期に、人間の社会に適応できる社会性を身につけさせ、飼い主さんとの信頼関係を築く教育が、将来に役立つ【こころのワクチン】となります。
人間社会に馴染み、人間社会に受け入れられるようなわんちゃんになれるように、毎日の生活を通じて準備を進めてあげましょう。
最後に
【こころのワクチン】を備えたこいぬ教育のプロ「認定こいぬこねこ教育アドバイザー」が全国にいます。
Contutti-コントゥッティ-の車谷も現在「認定こいぬこねこ教育アドバイザー」になれるよう勉強中です。
パピークラスや個別の相談などもぜひお近くの「認定こいぬこねこ教育アドバイザー」にご相談ください。
全国の「認定こいぬこねこ教育アドバイザー」一覧
https://www.jaha.or.jp/training/seminar/puppy/staff-list/
参考文献:村田香織(2023).『こころのワクチン 子犬に教える、人としあわせに暮らす方法』.ParadeBooks